ペダル踏み違い、これでなくしたい!ABOiD (アクセル・ブレーキ検知表示装置) 開発中!
千葉商科大学と連携し、市川・真間手児奈夏まつりで紹介
赤・青の光でブレーキ・アクセルが一目でわかるABOiD
アクセル・ブレーキの操作はダッシュボードの下でおこなわれ、眼で確認できません。これが、ペダル踏み違えの重要な原因と考えられます。
そこで思いついたのがペダル操作の可視化。
ABOiD(注1)は、ブレーキを踏もうとすると赤ライトが、アクセルを踏もうとするると青ライトが、目の前で点灯する装置。 ペダルの踏み違えを回避し、ドライバーがアクセル・ブレーキを適切に使うようになることを期待しています。
(注1)Accelarator-Brake Optical idenficaion Devise 2023年3月31日に「ブレーキアクセルペダル変位検知装置」として特許出願。特願2023-056857 出願人 株式会社 Soft Mobility Initiative と学校法人千葉学園。
ABOiD 開発は 2021 年に始まりましたが、2000 年からのソフトカープロジェクトを背景していて、2017年からの千葉商科大学学長プロジェクト(注2)に位置づけられ、事業化を目指しています。
(注2) 原科幸彦学長のもとで2017年にスタートhttps://www.cuc.ac.jp/om_project/index.html?category=all。 Soft Mobility TCUC Team は、西尾淳教授、藏田幸三准教授、中村聰宏非常勤講師(立教大学准教授)、小栗、関水で構成されている。
これまで、装置開発と試乗を、事業化メンバー、ソフトカープロジェクト以来の支援者、千葉商科大学関係者などでおこなってきました。
真間手児奈夏まつりでの展示とABOID体験
今年(2013年)7月23日、市川市の皆さんへのご挨拶として、真間手児奈夏まつりで紹介しました。
夏まつりでの展示は、駐車した車に搭載した ABOiD で機能を体験してもらうものでしたが、ABOiD の機能は短時間でよく理解されたと感じました。
アンケート結果
・結果概要
※参考 アンケート用紙[ 画像 ]
展示とともにおこなったアンケート(注3)に22人の方から回答をいただき、以下の結果が得られました。
- 「ABOiD が安全な運転に役立つか」に全員が肯定的な回答
- 「自分の車に ABOiD を搭載したい」という回答は約 2/3
- 「自分以外で ABOiD を搭載してほしい人がいる」のは 3/4強で、高齢者や高齢化する家族の搭載を希望
- ABOiD 搭載車の試乗テスト希望は約 3/4
- 商品化した際の妥当な価格は、幅が広いが、平均は6万円強
- 今後に向けて、「試乗会などで認知度を高めるべき」、「機能を高めてほしい」、「早期に実現を」などの期待の意見が多い
以上から、多くの人がペダル操作に不安を覚え、ABOiDに期待を抱いたことがわかります。
(注3)アンケート用紙はこちらから ☛[ 画像 ]。 回答者は20~70代、免許所有者は約8割、男女比はおよそ7:3でした。
質問別アンケート結果
アンケート結果
質問 1. ABOiD は道路交通の安全や快適に役立つと思いますか?(22 件の回答)
集計結果
結果要点
- 全回答が肯定的(Yes+どちらかというとYes、以下同様)。3/4近くが強く肯定(Yes)。
- 自由回答は「目で見て分かる事で踏み間違えが減ると期待できそう」という意見に要約できる。
- 副作用を懸念する声も。
記述回答(14件)
<肯定意見>
- アクセルとブレーキのふみまちがえが多いので、すごく良い企画だと思います(58歳女性)。
- 事故が減るように思えるので(54歳女性)
- 踏む前にセンサーで、ライトがついて間違えているかどうか分かるのはいいと思いました(21歳男性)。
- 一目でアクセル・ブレーキが分かるのはよいと思います(22歳男性)。
- 感覚に頼る部分を視覚に入れられるので安心できるから(20歳男性)
- 色だと直感でわかるので良いと思う(21歳男性)
- 高齢者の方のふみまちがえなどは減ると思ったからです。
- 一目で分かるのでわかりやすい(女性)
- ブレーキとアクセルのどちらかを踏んでいるかは判ると便利だと思う(52歳男性)。
- 運転の意識が高まるかも(52歳男性)
- 色の識別は分かりやすい(高齢者でも)(46歳男性)
- 今の状況のままだと瞬時にどっちをふんだか判断できず、もともと危ないから(21歳男性)
- 色で確認できるので安心できるかも。踏み込んでからランプがつくというのでは間に合わないかも(64歳女性)
<懸念を含む意見>
- 視覚的効果はあると思うが、逆に気をとられる可能性もある(21歳男性)
質問 2. 自分自身が運転する車に ABOiD を搭載したいと思いますか?(22 件の回答)
集計結果
結果要点
- 回答の約2/3が肯定的。
- 非肯定的な回答(どちらでもない+どちらかといえばNo)は20~50代。感覚に自信があり、またABOiDに改善すべき点がある事が理由。
- 高齢層だけでなく、運転未経験・初心の20代も肯定的。踏み違えの不安があるから。
記述回答(14件)
<肯定意見>
- アクセルとブレーキのちがいを色でにんしきできるのでよいし、ふみまちがえの防止になると思います(58歳女性)。
- 初心者のためまだ運転に不安があるから(20歳男性)
- パニックになると判断が出来るか不安なので保険として良いと思う(21歳男性)
- 私自身がうっかりしてアクセルとブレーキをふみまちがえそうだと思ったから(21歳男性)。
- 子供がいるため、あると安心(34歳女性)。
- 必須とは言えないが、あったら参考になると思う(52歳男性)。
- 今のレベルだと間に合わない可能性がある(64歳女性)。
- 何となく(21歳男性)
- 視覚から受けるのはわかり安い、反応がしやすいかも。うっかり防止。急なアクシデント時は正しい判断ができなくなるので(62歳女性)。
<非肯定的意見>
- 自分は運転しないので(52歳女性)
- 今は判断力が鈍っていないので大丈夫だと思ったからです(21歳男性)。
- 個人的には、搭載しなくても間違えない気がするので、どちらでも良いです(22歳男性)。
- 完成度が高まれば(52歳男性)
- まだ必要はないと思う(46歳男性)
- まだ必要性を感じないから(35歳男性)
もう少し目立つ位置にランプを設置できれば使いたい(38歳男性)
質問3. 自分以外でABOiDを搭載して欲しい人はいますか?(22 件の回答)
集計結果
結果要点
- 回答の約3/4が肯定的。強い肯定(Yes)が多い。
- 搭載してほしいのは高齢者、とりわけ高齢化する家族。
記述回答:誰に、なぜ、つけてほしいか。(14件)
- 特に高齢者(67歳女性)
- 70歳〜.80歳代の方々(58歳女性)
- 主人。だんだん年をとっていくから(54歳女性)
- 祖、父母が高齢者でありながらドライバーなので、ミスを少なくするためにも是非付けてほしいと思いました(21歳男性)。
- 父が高齢になってきたら使ってもらうのも良さそうです(38歳男性)。
- 親族 何事も安全第一(20歳男性)
- 祖父、祖母。判断力が下がっていると考えるため(22歳男性)
- おばあちゃん。ちよっとしたふみまちがえがあるかもしれないから(22歳男性)。
- 父、高齢なので(女性)
- 高齢者(43歳男性)
- 祖母 / 認知が少し下がっているかもしれない(46歳男性)
- 父、母。これから年を重ねるし、判断もにぶくなっていくと思うから(21歳男性)
- 父母。高齢のため(34歳女性)
- 60代以上(64歳女性)
質問4. ABOiD搭載車に試乗できる機会があれば乗ってみたいですか?(22 件の回答)
集計結果
回答要点
- 回答の70%強が肯定的。
質問5 ABOiDが商品化された場合、価格はどれくらいが妥当だと思いますか? (18 件の回答)
集計結果
回答要点
- 5000円から20万円くらいまでと幅が広い。
- 1万円以下は20代の回答。
- 5万円から20万円までという回答が約半数。
- 平均は6万円強と推定される。
<集計対象とした回答> ◦30,000 ◦1万円 ◦30,000〜50,8000ぐらいの間 ◦2万円 ◦10万円 ◦5〜10万円 ◦10万 ◦10万円 ◦30万円・・15万円⁈ ◦1〜2万円
◦20万程度くらいまで ◦5000円 ◦1万円程度 ◦2万円台 ◦安い方が普及は早いが・・5万?
質問 6 ABOiD の装置や事業の進め方について、自由に意見をお書きください。(14 件の回答)
- 早くお願いします(74歳女性)。
- 物流企業向け商品(21歳男性)。
- 社会に役立つ事業だと思います。ぜひ事業を進めてほしいと思います(58歳女性)。
- 高齢者に無料で貸し出し、事故を防げた回数などで実績を出してほしい(43歳男性)
- ドライブレコーダーと接続して、人が前にいる時はアラーム等で踏み間違がおきないようにするなどしてみたらと思いました(21歳男性)。
- もし販売するならBtoBの方が社会責任を伴うのでやりやすいと考えた(20歳男性)。
- 試乗体験(21歳男性)。
- 足の位置と共に、どちらを踏んでいるかも大事だと思うので、押された力のセンサーもあつたら便利だと思う(52歳男性)。
- どの車種にも取り付けやすく、音声でも知らせられるとよいと思います(52歳男性)。
- 早くできるといい(67歳女性)。
- 位置がもう少し上の方がいいかも(46歳女性)。
- ぜひ様々な場所でプレゼンテーションして認知度を増やして欲しい(21歳男性)。
- センサーの感度をもっと上げて欲しい(64歳女性)。
- 搭載の義務にすればよさそう(20歳男性)。
回答者属性
自動車免許
所有 | 4 | 19.0% |
非所有 | 17 | 81.0% |
性別
男性 | 14 | 63.6% |
女性 | 8 | 36.4% |
年齢
20代 | 7 | 33.3% |
30代 | 4 | 19.0% |
40代 | 2 | 9.5% |
50代 | 4 | 19.0% |
60代 | 3 | 14.3% |
70代 | 1 | 19.0% |
ABOiD 開発の経緯
2005.9 ペダル踏み違えを経験(小栗)。 見えない足元でペダル操作がおこなうことが踏み違えの根本要因と考え、ABOiD発案。 | |
2019.4 東池袋でプリウス暴走惨事発生。 2021.6 アクセル・ブレーキ踏み違え回避のネット会議に参加。ABOiD実現の検討開始。 | |
2021.12 株式会社Soft Mobility Initiativeを設立。 2022.3.31千葉商科大学とともにアクセルブレーキ変位検知装置特許出願。 2023.3.31 優先権出特願2023-056867 | |
2023.1 赤外線センサー利用のABOiD試作品を小倉直己さんが作成。 これ以降、搭載方法の検討と試乗。 | |
2023.5~6千葉商科大学商経学部で特別授業と試乗会。 |
Soft Mobility研究の経緯
1982 筑波研究学園都市でソフトカーを発案(小栗)。 2000 ソフトカー研究が国のミレニアムプロジェクトに採択され、道路ごとの最高速度の表示・制御・認識の装置を開発。 | |
2001~2003 市川市真間地区の皆さんの車両に速度表示装置を搭載した車両の走行実験を実施。 | |
2005 電気自動車ソフトカーQカーが愛・地球博のパレード車となり、この時期、全国キャラバン。 | |
2006~ 全国の交通被害者と交流し、世界道路交通被害者の日の集会などを実施。 | |
2009~ 小学校通学路、大学キャンパス、住宅地道路などで適正速度実験。歩車非分離の道路では時速15キロ程度、歩行者中心の地区では時速6キロが適正という目安をえた。 | |
2017 大阪の繁華街、市川駅前のタクシーの速度記録、急減速・急加速を繰り返し、平均速度が時速6キロ程度。でも同様の結果。 | |
2018 千葉商科大学キャンパスで速度外部表示実験。速度表示の効果はある程度確認できたが、一般市街地での実現こそ必要と結論。 | |
2022.5「移動体速度表示警告装置及びそれが設置されている移動体並びにそれらが推奨又は義務付けられている区域」 特許取得(特許第 7067734号)、特許権者:小栗+学校法人千葉学園) |
今後の展開
ABOiDを入口に、市民組織、地域企業、自治体、政府などに働きかけ、Soft Mobility Zoneを形成していく。
謝辞
ABOiD開発や今回の展示の経緯をふりかえると、2000年からのソフトカープロジェクトにかかわった皆さんの支援が大きかったと改めて思う。
昨年、初期段階のABOiD試乗に協力してくれた、阿部秀紀君(千葉商科大学政策情報学部1期生)、小倉功君(同1期生)伊沢充君(同2期生)、田村篤史君(同2期生)は、ソフトカーの始動期を支えてくれた学生だった。
ABOiD改良版を制作していただいた小倉直己さんは小倉功君のお父さんで、ソフトカーのスタート時期に技術協力をお願いし、ABOiDを思いついた時期にも相談に乗っていただいた。
夏まつり主催者の真間商店連合会・帆苅隆一さんはソフトカーのことをよくご存じで、ABOiDを紹介したところ「価値のある研究だ、展示を」というお勧めで今回の展示に至った。ABOiDを搭載したのは帆苅さん所有の車であり、そのことを含めて心から感謝したい。
Soft Mobikity CUC Teamのメンバーになっていただいた蔵田幸三准教授からは、自治体や地域のみなさん、そして、学生を大切にする姿勢に多くを学んでいる。
今回の展示には、千葉商科大学の学生広報誌Yellowを編集・発行している渋谷諒君、佐藤康平君、市原和樹君(サービス創造学部3年、4年)が参加した。彼らはABOiDの情報収集が主目的だったが、ABOiDを体験し、参加者の意見を聞く中で、ABOiDへの関心を深めていくことが感じられた。彼らの今後の活動に期待したい。
ABOiDの製化と普及、そして、それを通しての新しい人々の関係づくりを全国の様々なコミュニティで進めることが、皆さんへの好意への返答になると思う。
(文責:小栗)
参考資料
- NHK(2001)首都圏ネットワーク2001.1.5 ソフトカー紹介 [YouTube動画]
- Youtube(2004)真間小学校通学路通学路[YouTube動画]
- テレビ山梨(2005)ソフトQカー山梨市後屋敷小学校訪問 [YouTube動画]
- 小栗幸夫(2009)『脱スピード社会』清文社
- 関水信和(2018)『技術系ベンチャー企業の経営・知財戦略 ―アントレプレナーの心得』中央経済社
- 小栗幸夫(2019)「歩きたくなる脱スピードのまちを首都中心から」『国土と政策』No.46 [資料URL]
- 小栗幸夫、吉川泰生、関水信和(2019)「歩車非分離空間での自動車の挙動と低速速度制御の意義と可能性:予備的考察」ITSシンポジウム2021発表 [発表資料URL]
- 小栗幸夫(2022)「ソフトモビリティーのまちづくり:学んだこと、伝えたいこと」『地域開発』vol.642 [資料URL]
- 小栗幸夫、吉川泰生、関水信和、岩倉洋平「速度外部表示装置の効果検証とソフトモビリティ研究・実践の展望」ITSシンポジウム2022発表 [発表資料URL]
詳細資料
本展示とアンケートを担当した当社役員の小栗(千葉商科大学名誉教授)、関水(同客員教授)によるレポートをご覧ください。